安静にし過ぎるほど治らない
ケガや痛みが出たとき、「安静にしてください」と言われることが多いと思います。
もちろん、炎症が強い時期には無理をせず休ませることが大切です。
しかし、ずっと安静にしていることが本当に“治る”ことにつながるのか?
ここには大きな誤解があります。
痛みが残っていても、必ずしも壊れているわけではない
炎症が落ち着いたあとも痛みが続く場合、それは組織が壊れているサインではありません。
神経が敏感になっていたり、筋肉が緊張していたりするだけのことも多いのです。
ですから「痛みがある=動かしてはいけない」と考えるのは早計です。
“無理しない”と“何もしない”は違う
安静を続けすぎると、筋肉や関節は固まり、身体は“動かし方”を忘れてしまいます。
私が考える理想のリハビリは、限界を10としたら10.5くらいの刺激を入れること。
11や12の無理をすると再び壊しますが、10.5くらいの負荷は
「痛いけど動ける」範囲で、身体が順応していく刺激になります。
実際、私自身もこの“ギリギリ攻める”リハビリで何度も怪我を乗り越えてきました。
期間と経過を見極めることが大切
痛みの種類や部位によって、安静にすべき期間は異なります。
私が判断の基準にしているのは「期間」「経過」「熱感」の3つです。
炎症や熱があるうちは無理をせず、
それが引いてきたら少しずつ動かしていく。
そうやって身体の回復リズムを見極めることが重要です。
「できなくなる」ことがいちばん怖い
長期間の安静で痛みが減っても、
以前できていた動きができなくなっていることがあります。
その状態を放置すると、「また痛くなるのが怖い」と動くことをやめてしまう。
運動をやめ、出かけることも減り、人生の質が下がっていく――
これが、治療の現場で最も避けるべき悪循環です。
“痛みを取る”より“動ける身体を取り戻す”
本当の治療とは、痛みを消すことではなく、
**“再び動ける身体をつくること”**だと私は思います。
怖さを乗り越え、少しずつ動ける範囲を広げていく。
それが結果的に、痛みを克服し、生活の質を高める最短の道です。